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♯1-③ 脳卒中コラム【復職後の仕事にかける情熱と工夫】発症後の人生

脳卒中発症後、急性期病院、回復期病院を経て在宅復帰されたSさん(仮)。

退院後と現在を比べ、ご自身の仕事についての話に及ぶ。


塚本:「会社の方々はSさん(仮)が復帰されるのを望んでいらっしゃったんですか?」

Sさん(仮):「さすがに総務関係の人は『無理だ、ましてや単身赴任なんが絶対ダメ』」

仕事に戻ってすぐは、奥様が赴任先に帯同されることとなった。ただでさえ大変な単身赴任の職場環境だ。

Sさん(仮)の熱い想いはもちろんのこと、奥様の献身的なサポートなしにはなし得なかったであろう。

「退院した後、仕事が嫌いだとか好きだとか、そういうことが頭に浮かばなかった。といって、頭が半分無くなってるわけだから、仕事には相手もいるわけだから。愛知の事業所においては、脳卒中になった人が復職するのは初めてのなんです。」

当事者の方の言葉には本当に驚かされる。Sさん(仮)の仕事への情熱がどんどん溢れてくる。


「今のこの姿は全然予想しなかったけど、僕も時間が経てばみんなと同じようになるもんだと思っていた。それなりにダメージがあるわけだから、100mを13、4秒で走るってのは無理だけど、16、7秒ならできるやん。だから回復するものだと思っていた。」

「ある、前の会社のOBの方だったんだけど、『この病気は大変なことがある。それは今までの5倍は時間がかかる。それにあなたが耐えなきゃダメだ。でも5倍動くんだけど、それは自分を支えてくれることだから、正しく丁寧にやればプラスのことも出てくる。慌てて間に合わせ的に誤魔化するよりも、丁寧にやってもいいよねぇ。そういうものの考え方でいけば、(障がいは)大きくないよねぇ』と。」


「障がいを持ってるなんて、むしろ会社の人の方が全然頭の中から消えてる。自分自身と素直に向き合った時に、病気にならなくたって出来ないことはあるわけだから、コミュニケーションを無くさないっていうのが一番大事なんじゃないかな。」

塚本:「前おっしゃってましたよね。社員の方に障がい者だって思ってもらえないって。」

思わずSさん(仮)の顔が崩れる。「そうなんですよ笑 今日もそうだったよ笑」


そこには、脳卒中患者のSさん(仮)、という姿はない。

ひとりの社会人として、自分自身と向き合いながら、できる範囲で、仲間と助け合いながら歩かんとする姿がとても印象的だった。

「仕事やなんかで一概には言えませんけど、出来るだけ多くの人と交流を持つ、コミュニケーションを持った方がいいんじゃないかな。フレッシュなものをどんどんもらえるから。」

塚本:「お仕事だけじゃなく、リハビリも?」

Sさん(仮)「全てですよ。」

質問に答えるSさん(仮)の眼光は鋭い。

「会話するということは、言葉を選ぶ、表現を変える。コミュニケーションは一人じゃ絶対に出来ませんから。人の内にいるわけだから、やっぱり人がいないとバランス取れないんじゃないかな。その方が自分の体にも良いし。」


Sさん(仮)のお話の中で、頻繁に登場していたのが<相手>というワードだ。

取り繕われて出た言葉では決してないのは言うまでもない。

人の輪の中で、人として成長するのは、脳卒中になったから、というわけではないだろう。

デイサービスでも、自費リハビリでも、そこに活路があるのかもしれない。

本当は紹介したいことがもっとたくさんあるのだが、それは動画を見てほしい。

Sさん(仮)の思いと言葉を、わずかな時間の中ではあるが、どうか体感していただきたい。

最後に、Sさん(仮)の一言を添えて、このコラムを締め括らせていただきます。

「全てにおいて、リハビリ」









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