♯1-① 脳卒中コラム【救急車内で途切れた記憶/病院で自分は何をしてるのか】発症後の人生
- 自費リハ 塚本
- 2月28日
- 読了時間: 3分
更新日:3月7日
新潟県といえば日本有数の米所。お米に詳しくなくても、誰もが知っているお米の王様「コシヒカリ」のお膝元。
今回の主役は、そんな米所にルーツを持つSさん(仮)。
脳卒中発症から6年が経過した今、当時を振り返っていただきました。
電機メーカーの勤務を続ける傍ら、兼業農家として田畑仕事にも精を出されるSさん(仮)
ある日のこと。仕事に向かう前に、少し時間があったため田んぼに足を運びます。その後はゴルフの練習、と意気込んでいらっしゃいました。しかし、ゴルフの打ちっぱなしから戻ってきて状況が一変します。
Sさん(仮)「田んぼ終わってそのまま、軽トラでゴルフ練習場まで行って、戻ってきておかしいなでバタン。そのときは愛知県に単身赴任をしている状態で、週末だけ新潟に帰ってくる状態だったんだけど、幸い家に戻ってましたから。娘もいましたし、家内もいた。その状態で僕はダウンしちゃったみたいですね。」
続けて、「これ(家族の方がいらっしゃること)が結構大きかったですよね、すごく。一人じゃなかったっていうのが一番大きいんじゃないかな。」
その後は、救急車で病院まで搬送されることとなりますが、駆けつけた救急隊員の方に問われたことを覚えてみえました。「お名前は?生年月日は?そこはかろうじて自分の意思で喋れました。あとは・・・どこにどうなったか全く分かんない。そっからの記憶が途切れました。」
-そこから記憶がはっきりしたのは、何日後かは分かんない-
気がついた時には、会社関係者の方がSさん(仮)の見舞いに。
「この日、初めて『Sさん(仮)大丈夫だね』って言われたんだけど、自分が大丈夫かどうか、分からない。」
「その時、私が何を喋ったか分かんないけど、今大事な時期だからちゃんとやってな、そういうニュアンスの話をしたらしいですわ。そっから闘病が始まったんです。」
脳卒中の発症後は、状態にもよりますが、入院早期からリハビリが始まることが多い。
自費でのリハビリを現在継続されているSさんが、当時のリハビリを思い返すと、
「リハビリで何をしてんのか、分かんない。(麻痺の影響で)感覚が全然無いからですね、リハビリを受けてる感覚もなければ、自分はここに来て、何をしてるかも分かんなかった。もう、理解できないできない。」
一般的には、< 脳卒中 = 麻痺 >、というイメージが定着していますが、脳卒中の影響で、こうした何がどうなっているのかを理解するのも難しくなることも見られます。
そんな状態が2、3日続き、ふとベッドにいる自分に気が付きます。
「なんか僕ベッドにいるんですよ、ベッドの上ほらね、動けないんです。」
塚本:「今のSさん(仮)では正直全然想像がつかないですね。」
Sさん(仮):「もう、そんな感じだったんですよ。僕ね、ベッドから降りようとしてるみたいな、降りられないのにベッドから降りようとしてた、駄目だから。繋がるから余計に動けない。」
何故に動けないか、それは麻痺によって体が動かせないだけでなく、ベッドからSさん(仮)が落ちないようにするために、腰とベッドをベルトで固定されていたためだった。
いざ体を休めようとウトウトしていると、「とにかく変な夢ばっかし。何か雑音がボンボン入ってるんですよね。とにかくそんな状態で、約2週間ぐらい(最初の入院生活を)過ごしましたかね。」
この後、転院を経て、Sさんのリハビリが加速していくこととなります。
自分自身の体と向き合わざるを得ず、現実に葛藤するリアルなSさん(仮)のお声は、
次回、回復期病棟編にて。
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