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コラム

COLUMN

75歳、現役送迎ドライバーが語る「働くこと」の本質——多彩な経歴が生んだ、介護現場の頼れる存在

  • 2 日前
  • 読了時間: 3分


人生の積み重ねが、今ここに結実する

デイサービスの一日は送迎から始まる。利用者が最初に会うスタッフは運転手であり、その第一声が安心感をつくる。古田さん(まもなく75歳)は銀座店の開業当初から関わるスタートメンバーで、送迎を中心に車両管理や配車調整でも頼られてきた。管理者の荒木さんとは前職「しあわせ」時代から約15年の付き合いで、長い時間が育てた信頼がチームの土台になっている。



ホテルマンから運送業へ

古田さんの原点はホテルでの接客経験にある。初対面の相手の緊張をほぐし、自然に心を開いてもらう感覚は、いまの送迎でも生きている。


その後は運送業界で約10年。トラックの運転だけでなく、車両メンテナンスや事故対応の流れも経験した。安全の基本として身についた「かもしれない運転」は、利用者を乗せる現在の業務の核になっている。



介護の世界への扉

介護に入ったきっかけはヘルパー実習だった。実習先「しあわせ」で声をかけられて入職し、当初はデイサービスに配属されるも「合わない」と感じ、訪問介護へ転じた。


訪問介護では掃除・料理・おむつ交換・入浴介助などを担当。最初は「男性ヘルパー」に不安を示した利用者も、入浴介助での安心感を通じて信頼へ変わり、やがて指名が入るようになった。こうした積み重ねが、古田さんが介護の仕事を「楽しい」と感じる原点になった。


人間関係の難しさも経験するなかで、古田さんは介護福祉士の取得を決意。実務経験を経て64〜65歳頃に受験し、同僚の江本さんとともに一発合格した。



送迎という仕事の深さ

古田さんは送迎を、単なる移動ではなく「会社の顔」の仕事だと捉える。挨拶、声かけ、気配りで不安を軽くし、車内での会話から利用者の様子もつかむ。


同じドライバーが継続して迎えに行くほど、利用者は心を開きやすい。座席の希望に応えて“指定席”をつくる工夫も、車内の安心につながっている。認知のある利用者が古田さんを探し、「あの人が連れて帰ってくれる」と信頼を寄せる場面は、関係性の深さを象徴している。



車両管理と配車

会社の車を「自分の車のように扱う」ことも古田さんのこだわりだ。運送業の経験を背景に、不具合時の初動も早い。


配車についても前任者から任され、試行錯誤しながら面白さを見出した。また車の手配では、つながりを通じて自動車販売店(ヤマザキモーターズ)との関係づくりにも関わり、施設の運営を裏側から支えている。




ワンチームの精神

古田さんにとって銀座店は、年金だけでは足りない生活を支える「働く場」であると同時に、力が湧いてくる場所でもある。スタッフについては「嫌いな人が一人もいない」と語り、チームワークを「ワンチーム」と表現する。


目標は、可能なら80歳まで働くこと。さらに、送迎スタッフが大型車の運転に慣れるために、隣に乗って練習を支援する機会があってもいいという提案も口にした。


ホテルで培った対人対応、運送業で身につけた車と安全の知識、訪問介護で得た現場感覚。それらが送迎という仕事のなかで結びつき、古田さんは今日も現場の安心をつくっている。

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